速度測定サイト調査(コネクション数・通信データ量)

速度測定サイト調査(コネクション数・通信データ量)

速度測定サイトにおいて速度測定実施時における利用コネクション数や通信データ量が気になったため、実際に筆者PC&FTTH回線にて速度測定を実施し、その際の状況を調査しました。

※測定結果と測定方法について

  • 利用コネクション数はwiresharkにて確認
  • データ通信量はwiresharkにて速度測定に利用されたコネクションの通信量を確認。複数コネクションを使う場合は前コネクションで通信したデータ量を合算
  • 通信データ量は各3回ずつ速度測定した結果の平均値

測定時に利用するコネクション数

速度測定サイトコネクション数
M-Lab(google)1
USEN インターネット回線スピードテスト1
Cloudflare Internet Speed Test1
Fast.com1~
※測定者の環境により可変(筆者測定環境では4。Web上で設定変更可)
SPEEDTEST2(または1)
※Web上でmulti session:2<=>single session:1の切り替え可
ブロードバンドスピードテスト1
BNRスピードテスト4
※上り下り個別に測定。各測定で2セッション利用。
フレッツ速度測定サイト4~※

※インターネット区間計測用のAWS向け接続にIPv4/IPv6それぞれ1コネクションずつ利用。それに加えて、フレッツ網内向けの速度測定用にIPv6で2コネクション利用。筆者環境ではIPv4のフレッツ網内向けの到達性がないため観測できなかったが、IPv4の到達性がある場合にはさらにフレッツ網のIPv4計測用に2コネクション使用されると思われる。

測定時の通信データ量

IPv4試験結果

速度測定サイト下り速度測定結果(Mbps)下り転送データ量(MB)上り速度測定結果(Mbps)上り転送データ量(MB)
M-Lab(google)304284112
USEN インターネット回線スピードテスト42399874
Cloudflare Internet Speed Test9117974105
Fast.com153081220
SPEEDTEST10893186
ブロードバンドスピードテスト121986136
BNRスピードテスト91390105
フレッツ速度測定サイト93379037
iNoniusスピードテスト44399774

IPv6試験結果

速度測定サイト下り速度測定結果(Mbps)下り転送データ量(MB)上り速度測定結果(Mbps)上り転送データ量(MB)
M-Lab(google)851183854
USEN インターネット回線スピードテスト98619981
Cloudflare Internet Speed Test8918490160
Fast.com929281165
フレッツ速度測定サイト92415421
iNoniusスピードテスト90609781

調査結果まとめ

コネクション数について

  • 1つのコネクションで上り下りの速度を測定するサイトが多め
  • SPEEDTESTはデフォルトで上り・下りの速度をそれぞれ1コネクションずつ使って別々に測定していたのが特徴的であった
  • Fast.comでは利用するコネクション数が4つ(筆者環境)であり、4つのコネクションで上り下りのデータを流していた。Fast.comの解説ページによると利用するコネクション数は測定回線のスループットに依存して変動するとのこと。

通信データ量について

  • 全ての測定サイトにおいて測定時に通信するデータ量は測定者の通信回線の性能次第で変化した。この結果から、測定には下記のような測定手法がとられていることが推測できる(ただしこれは測定時に流すデータ量に上限が無いことを保証するものではない)
    • 測定のための時間が固定で設けられており、該当時間において流すことができたデータ量から通信速度を計測
    • はじめは小さめのデータを転送し、回線速度に応じて流すデータ量を徐々に多くしていき通信速度を計測
  • 試験結果から、かなり大雑把に言えば速度測定するために要するデータ通信量は 測定で得られる通信速度 x 1~2 Byte 程度
    (例えば、20Mbps使える回線だと速度測定用に片方向で20MB~40MBくらいのデータが流れる。上り下り合わせると更にその倍。)
  • 計測手法についてiNoniusスピードテストFast.comでは解説ページあり
  • fast.comでは速度測定結時に使ったデータ転送量がweb上で確認できる(赤枠の部分)

今後の調査したいこと

広帯域回線での速度測定時の通信データ量の計測

今回実験した回線環境が最大100Mbpsまであったため、その条件下におけるデータ通信量の測定しかできませんでした。 1Gbps出せる回線環境で実験をすれば、測定サイト毎で測定時の通信データ量にもっと差が出てきて興味深い結果が得られそうな気がします。 利用する通信データ量と速度測定結果の精度についてはある程度トレードオフの関係にあると思いますが、 今後より回線が高速化していくなかで測定用に数GB、数十GBもデータをダウンロード・アップロードすることになるのか、もしくは10Gbps回線くらいまでなら100MB~200MBのデータで十分なのか気になるところです。

スマートフォンアプリでの速度測定時の通信データ量の計測

スマホでは速度測定ができるアプリが多く提供されていますが、これらのアプリを用いてLTEや5Gといったモバイル回線経由で速度測定した際の通信データ量を調べてみたいです。 モバイル回線からの測定する際の特別な配慮・機能が無く、今回の固定回線での実験結果と同様であれば速度測定するだけで結構なパケット量を消費してしまいます。仮に1日あたり仮に上り下りの速度測定1回で100MB通信したとする(そんな人はいないと思いますが)と、月で3GBの通信量となり月3GBコースの人だと速度測定だけで毎月の通信枠を使い切ってしまいます。